虫歯治療で歯を削った後に、歯が沁みる症状が出たことはありませんか?
歯の被せ物を作るために歯を広い範囲で削った場合、麻酔が切れた後に沁みる症状が出ることがあります。
12月から保険導入されるコーティング処置を行うことで、削った後に沁みる症状が出るのを抑えることが出来ます。
なぜ歯を削ったら沁みる症状が出るの?
歯の頭の部分はエナメル質という硬くて丈夫な層で覆われていますが、その下には象牙質という小さな穴が開いた層があります。
象牙質に空いた小さな穴は象牙細管と言い、歯の中心の歯髄と繋がっています。
歯髄には痛覚を感じる神経が豊富に存在するため、象牙質が露出すると刺激が神経まで伝わり、沁みる症状が出るようになります。
象牙質には象牙細管という小さな穴が開いている

象牙質には象牙細管と呼ばれる小さな穴が無数に空いています。
象牙質が露出すると、刺激が歯髄まで伝わるようになる。

エナメル質がなくなって象牙質が露出すると、象牙細管を伝って刺激が歯の神経まで伝わるようになります。
これが歯が沁みる症状が出る原因となります。
保険の白い被せ物は歯を削る量が多いため、特に沁みる症状が出やすい
保険の白い被せ物は正式にはCAD/CAM冠と言います。
CAD/CAM冠の素材は樹脂であり、金属より素材としての強度が弱いです。
このため、金属の被せ物の2倍くらいの厚みを確保する必要があり、その分歯を多く削ることになります。

歯を多く削るとその分神経までの距離が近くなるため、沁みる症状が出やすくなります。
このため、CAD/CAM冠では金属の被せ物よりも沁みる症状が出やすい傾向があります。
コーティング処置による沁みる症状を抑える作用
専用のコーティング剤を象牙質表面に塗布して硬化させることで、象牙質表面に硬化皮膜を作ることが出来ます。
被膜によって象牙質表面の穴を塞ぐことで、歯髄に刺激が伝わるのを防ぎます。
これにより、沁みる症状が出るのを抑えることが出来ます。

コーティング材の封鎖効果

上の写真は半分だけコーティング剤を塗ったのちに紫色の溶液に浸漬した歯の写真です。
コーティングなしでは溶液が象牙質を伝って歯髄まで到達していますが、コーティング有の部分は溶液が侵入していません。
(写真参照元:ハイブリッドコート2について)
適応となる処置
歯全体を削る処置のみが保険治療でコーティング処置を行う適応となります。
部分的に歯を削る処置は保険ではコーティング処置を行うことが出来ません。
(参考資料: 医療機器の保険適用について(令和元年 12 月収載予定) )