2020年7月27日付で広島県でも「医療機関等の医療従事者・職員に対する慰労金」の申請受付が開始されました。
早速申請書の作成を行ってみましたので、作業の大まかな流れや、行ってみての注意点や感想について記載していきたいと思います。
大まかな手続きの流れ

申請手続きの大まかな作業の流れは上図のようになります。
作業の流れに従って、順番に解説していきます。
申請様式のダウンロード
まずは、各都道府県の「医療機関等の医療従事者・職員に対する慰労金について」のページから申請様式および申請マニュアル等をダウンロードします。
広島県の場合は以下のURLになります。

申請受付は都道府県単位で行っています。申請様式のダウンロードは必ずご自身の所属する都道府県のページから行ってください。
申請書の作成は各都道府県が用意したエクセエルファイルを使って製作していくことになります。
このため、officeソフトがインストールされているPCを用意する必要があります。
(原則電子ファイルでの提出ですが、どうしても無理な場合は紙媒体での申請も出来るようです。)
給付対象者の特定
給付条件は、「“患者に接する医療従事者や職員”で,対象期間中(始期~6/30まで)に10日以上勤務した者」です。
医療資格を持たない受付等も対象となります。
広島県の場合は3/6が始期となるので、3/6~6/30の期間に10日以上勤務した人が対象となります。
始期は都道府県によって異なります。エクセルファイルの様式第1号のページに自動入力されているので、確認してください。
退職者であっても,要件を満たす場合は,対象となります。
委任状について
委任状は以下の2種類のどちらかを選んで製作します。
- 代理申請・受領委任状(一覧式)
- 代理申請・受領委任状(個人別)
委任状は、入力した情報をもとにエクセルファイルが自動生成してくれます。
一覧式は一枚の用紙に給付対象者の一覧が記載され、それに自署・捺印する形式となります。
個人別は一人1枚の委任状を、給付対象者分印刷する形式となります。
一覧式はA4用紙1枚で済んで保存管理が楽なので、出来ればこちらを使いたいですが、エクセルファイルがうまくPDFを生成してくれないことがあります。
実際に「代理申請・委任状(一覧式)」の生成に不具合が出た例

昭和10年10月10日のように、年月日がすべて数字2桁の人はうまく表示されませんでした。
セルの幅が文字数に対して不足していると、#####になってしまうようです。
しかも、エクセルファイルに保護ロックが掛かっているのでセルの幅が調整できません。
一覧式はA4用紙1枚で済んで保存管理が楽なので出来ればこちらを使いたいですが、上記のような状態になる場合は個人別の委任状を使うことになります。
委任状の作成方法
委任状は申請用のエクセルファイルにある程度必要事項を入力すると、そのデータをもとに自動生成してくれます。
申請書は様式第1号から順番に必要事項を記載していきます。
基本的には「申請の手引」を参照して入力していけば問題ないです。
様式第1号

様式第1号では、医療機関等の基本情報を入力します。
申請日
提出日を記載するので、最初は未入力でOKです。
申請書作成後、提出する時に入力しましょう。
様式5、「あり」か「なし」か
委託事業者の従業員を申請に含む場合は「あり」、しない場合は「なし」となります。
(受付業務を外部業者に委託している場合等が対象となるので、大部分の医療機関は「なし」になると思います。)
10桁の医療機関等コードについて
定例報告書や施設基準の届出で記載するのは7桁の医療機関コードなので、10桁と聞いて「ん?」となる方も多いと思います。
10桁の医療機関等コードは以下のような構成となります。

つまり「都道府県番号」+「点数表番号」+「普段使っている7桁の医療機関コード」となります。
都道府県番号一覧

都道府県番号は上表の通りです。 広島県は「34」となります。
点数表番号一覧

- 医科は「1」
- 歯科は「3」
- 調剤は「4」
- 訪問看護は「6」
となります。
7桁の医療機関コードの確認方法
7桁の医療機関コードを忘れてしまった方は、所属の厚生局の「施設基準届出受理医療機関一覧」で確認できます。
厚生局のホームページから該当するPDFファイルをダウンロードして、自分の医療機関の名前を検索してください。
「Ctrl」+「F」でPDFのページ内検索が出来ます。検索ダイアログボックスに名称を入力すれば、そのキーワードが記載されたページを検索してくれます。
北海道厚生局
管轄都道府県:北海道
東北厚生局
管轄都道府県:青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
関東信越厚生局
管轄都道府県:茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野
東海北陸厚生局
管轄都道府県:富山、石川、岐阜、静岡、愛知、三重
近畿厚生局
管轄都道府県:福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
中国四国厚生局
管轄都道府県:鳥取、島根、岡山、広島、山口
*名称が「中国四国」ですが、四国は管轄していません。
四国厚生支局
管轄都道府県:香川、徳島、愛媛、高知
九州厚生局
管轄都道府県:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
住所・連絡先など
10桁の医療機関等コードを入力すると、「施設名」「住所」などの情報が自動入力されます。
自動入力されていない「連絡先」等の情報を記載していきます。
施設類型の選択
1~8の中から該当するものを入力します。
「都道府県から新型コロナウイルスに対する役割を設定された医療機関」でない場合、6,7,8のいずれかになります。
【施設類型】
- 新型コロナウイルス感染症患者の入院受入を割り当てた医療機関
- 帰国者・接触者外来を設置する医療機関
- 地域外来・検査センター
- 宿泊療養受入施設での対応
- 自宅療養を行う場合の新型コロナウイルス感染症患者に対するフォローアップ業務
- 1~5以外の病院及び診療所
- 訪問看護ステーション
- 助産所
慰労金を受け取る口座の設定

国保連の診療報酬口座で受取る場合、「はい」を選択します。
その場合、普段診療報酬が振り込まれる口座に慰労金が振り込まれます。
国保連の診療報酬口座で受取れない場合は、「いいえ」を選択し、口座情報を入力します。
様式第2号

様式第2号では、医療機関に勤務する人に関する情報を入力します。
基本情報
まずは、氏名、フリガナ、生年月日、性別といった基本情報を入力します。
生年月日は西暦で入力しても和暦に自動で変換してくれます。
例)「1999/9/9」と入力→自動で「平成11年9月9日」に訂正してくれます。
項目A
自施設及び他機関(複数勤務の場合)の勤務実績の合計日数を記載します。
(※プルダウンメニューになっているので、0日~10日以上の中から該当するものを選択します。)
項目B
自施設が,新型コロナ対応機関(県指定機関)である場合,感染患者受け入れ後の勤務実績の有無を記載します。
対応機関ではない場合は『無し』を選択します
項目C
複数勤務している等で,他機関における勤務実績の有無を記載します。
「有」の場合,他機関での実績入力用に様式の右側が展開します。施設類型ごとに,実績を入力します。

委任状徴収のチェックボックス
本来は委任状を回収してから「済」にするのでしょうが、ここを「済」にしないと給付申請金額が自動入力されません。
「済」にして金額入力状態にしてから委任状を発行することをお勧めします。
委任状の生成

「PDF出力のシート」を選び、様式2の一覧表から印刷したい従業員の管理番号を入力し、「出力」ボタンを押します。
PDFファイルがデスクトップに生成されるので、それを印刷しましょう。
従業員に必要事項を記載してもらえば、委任状は完成です。
提出用エクセルファイルの生成

提出日等の残りの必要事項を入力後、エクセルファイルの「最初に読んでください」のシートを開いて「提出用ファイル出力」ボタンを押すと、「提出用_慰労金_xlsx」という提出用のエクセルファイルが生成されます。
申請書の提出
提出方法は4通りとなります。
- 『オンライン請求システム』(診療報酬の請求に使用しているシステム)による申請書データの送信
- オンライン請求システム未導入機関は,専用の『WEB申請受付システム』(国保中央会が今回の手続用に構築したシステム)から送信
- 上記での送信が難しい場合は,電子媒体(CDR格納等)を国保連へ郵送送付
- 電子データでの提出が難しい場合には,紙媒体で作成した申請書を国保連へ郵送送付
注意点
月の前半は申請できません。
申請書の受付期間は、毎月15日~月末日の間です
【申請書提出にあたっての留意事項】≪必ず,御確認ください。≫
【申請書の受付期間】 毎月15日~月末日の間
(期限:令和3年2月末日まで)
○診療報酬の請求時期と重ならないように,国保連への提出は,毎月15日~月末日の間でお願いします。 (※上記①・②の受付システムも停止します。)
【注】診療報酬と混同された電子媒体については,受付対象外となるのでご注意ください。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/399778.pdf
1日~15日は普段の診療報酬請求の処理があるので対応できないようです。
「診療報酬と混同された電子媒体については,受付対象外となる」との記載があるので、「オンライン請求システム」から送信する人は特に注意したほうが良さそうです。
感想
自動入力をしてくれる箇所が多いので、思っていたよりも簡単に手続きができました。
銀行口座情報をわざわざ入力せずに、「いつもの口座で」と出来るのが入力ミスの余地がなく、とても良いと思いました。
ただ上記で述べたように、代理申請・受領委任状(一覧式)の生成が上手く出来ない場合があったので、その点に関しては改善の余地があると思いました。