CAD/CAMによる義歯製造方法まとめ(2025年度版)

一体型ミリング・デンチャーのKZR-CAD デンチャーPCの写真
引用元:https://www.yamakin-gold.co.jp/yn/ym177_d-pc/

令和7年12月1日より、3Dプリンターで製作した義歯の保険収載が決定しました。これにより、CAD/CAMを利用して製作する義歯への注目が集まっているので、現時点でのCAD/CAM義歯について情報をまとめてみました。

CAD/CAM義歯は、製造方法によって以下の2種類に大別されます。

  • ミリング・デンチャー
  • プリント・デンチャー

上記2種類について、解説していきます。

ミリング・デンチャーについて

ミリング・デンチャーとは、ミリングマシンを利用して製作する義歯のことです。

ミリング・デンチャーは、義歯の構造によって更に以下の2種類に分類されます

  • 一体型
  • 分離型

一体型ミリング・デンチャーについて

一体型ミリング・デンチャーでは、義歯床部分と歯牙部分が一体構造となっています。

既に販売されている材料としては、イボクラ社のIvotion®(イボーション)やYAMAKIN株式会社のKZR-CAD デンチャーPC等があります。

Ivotion®(イボーション)

一体型ミリング・デンチャーのIvotion®(イボーション)の写真
引用元:https://www.ivoclar.com/ja_jp/products/digital-processes/ivotion

イボクラ社のIvotion®(イボーション)では、白とピンクの2層になった1枚のディスクをミリングして、一体型の義歯を製作します。

KZR-CAD デンチャーPC

一体型ミリング・デンチャーのKZR-CAD デンチャーPCの写真
引用元:https://www.yamakin-gold.co.jp/yn/ym177_d-pc/

YAMAKIN株式会社のKZR-CAD デンチャーPCでは、白単色のディスクをミリングして義歯を製作し、後から歯肉の部分の塗装をします。

分離型ミリング・デンチャーについて

分離型ミリング・デンチャーでは、義歯床(ピンク色の部分)と歯牙(白色の部分)を別々にミリングマシンで製作し、後から接着して義歯を製作します。

既に販売されている材料としては、デンケン・ハイデンタルのアクリトーン・ディスク等があります。アクリトーン・ディスクは、部分床義歯の製作にも対応しています。

分離型の方が一体型よりも設計自由度が高いですが、接着操作時に位置ズレや浮上がり等のトラブルを起こす可能性があります。

ミリング・デンチャーのメリット・デメリット

メリット

  • プリントタイプよりも、製造時の環境要因(温度、湿度等)の影響を受けにくく、材料の品質が安定している。
  • 後処理(IPAによる洗浄工程等)が不要

デメリット

  • 材料費がプリントタイプよりも高額。
  • 製造設備の価格も、プリントタイプよりも高額。

プリント・デンチャーについて

プリント・デンチャーは、3Dプリンターを利用して製作する義歯のことです。歯科では主に光造形方式の3Dプリンターが使用されます。

プリント・デンチャーは、義歯の構造によって更に以下の2種類に分類されます

  • 一体型
  • 分離型

一体型プリント・デンチャーについて

一体型プリント・デンチャーでは、義歯床部分と歯牙部分が一体構造となっています。

白単色の義歯を3Dプリンターで製作し、後から歯肉の部分の塗装をします。

一体型プリント・デンチャーの写真
引用元:https://www.yamakin-gold.co.jp/prdct_dental/product/nulecoat/

分離型プリント・デンチャーについて

分離型プリント・デンチャーでは、義歯床(ピンク色の部分)と歯牙(白色の部分)を別々に3Dプリンターで製作し、後から接着して義歯を製作します。

既に販売されている材料としては、ディーマ プリント デンチャー(クルツァージャパン株式会社)、DH Print デンチャーベース(デンケン・ハイデンタル)等があります。

分離型の方が一体型よりも設計自由度が高いですが、接着操作時に位置ズレや浮上がり等のトラブルを起こす可能性があります。

ディーマ プリント デンチャー

ディーマ プリント デンチャーの写真
引用元:https://kulzer.co.jp/media/product-downloads/jp/product-information/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%9E-%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88-%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC-%E8%A3%BD%E5%93%81%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88.pdf

ディーマ プリント デンチャーはクルツァージャパン株式会社が販売する分離型プリント・デンチャー用の材料です。

令和7年12月1日より、ディーマ プリント デンチャーは保険収載されます。

令和8年1月1日より、他社の3次元有床義歯材料も保険収載されます。

ApexFlex(SprintRay)

ApexFlexSprintRayは海外で発表されたばかりで、まだ日本では未販売の材料です。薬機法の認可の関係で、日本での発売は2026年頃になると思われます。

ApexFlexは、部分床義歯のプリントに対応しています。

プリント・デンチャーのメリット・デメリット

メリット

  • 材料費がミリングタイプよりも安価
  • 製造設備の価格も、ミリングタイプよりも安価

デメリット

  • 後処理(IPAによる洗浄工程等)が必要で作業が煩雑
  • プリント時の環境要因(温度、湿度等)で、精度に悪影響を受ける可能性がある。

FAQ

Q
CAD/CAM義歯は保険治療で使用できますか?
A

分離型プリント・デンチャーの「ディーマ プリント デンチャー」が令和7年12月1日より保険収載されます。また、令和8年1月1日より、「Shining3D Dental」「Detax」「アキュプリント 3D」「DH Print」も保険収載されます。それ以外の材料は保険収載されてないので、使用する場合は自費治療となります。

Q
部分床義歯もCAD/CAMで製作できますか?
A

デンケン・ハイデンタルのアクリトーン・ディスクや、SprintRayApexFlexは部分床義歯の製作に使用できます。

参考資料

ディーマ プリント デンチャー(クルツァージャパン株式会社)

アクリトーン・ディスク(デンケン・ハイデンタル)

Ivotion®(イボーション)(イボクラ社)

KZR-CAD デンチャーPC(YAMAKIN株式会社)

ヌール・コート(YAMAKIN株式会社)

ApexFlexSprintRay

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

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