中央社会保険医療協議会が2月7日に令和2年度診療報酬改定に関わる資料を公表しました。
以前、保険で出来る白い歯の被せ物、奥歯や前歯も出来るようになる?!という記事を書かせて頂きましたが、実際にはどうなったかを中央社会保険医療協議会の資料を基に解説していきます。
今回適応拡大されるのは上顎第一大臼歯のみ
今回の改定で適応拡大されるのは上顎第一大臼歯のみとのことです。
これにより、保険で行える白い被せ物(CAD/CAM冠)は以下の条件に該当する場合になります。
(2) CAD/CAM冠は以下のいずれかに該当する場合に算定する。
イ 小臼歯に使用する場合
ロ 上下顎両側の第二大臼歯が全て残存し、左右の咬合支持がある患者に対し、過度な咬合圧が加わらない場合等において第一大臼歯に使用する場合
ハ 歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者において、大臼歯に使用する場合(医科の保険医療機関又は医科歯科併設の医療機関の医師との連携のうえで、診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく場合に限る。)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000593388.pdf
前歯への適応拡大は見送られました
以前書いた記事では、前歯部にもCAD/CAM冠が適応拡大されるのではないかと予想しましたが、残念ながら外れてしまいました。
ただし、診療報酬改定において対応する優先度が高い技術に分類されているので、将来的に導入される可能性は十分にあると思います 。(中央社会保険医療協議会 総会(第446回) 議事次第 )
追記:2020年9月より、前歯部にもCAD/CAM冠が適応拡大されることになりました。https://yashima-shika.com/cad-cam-crown-front-tooth/
今回採用されなかったのは、臨床データが不十分だから?
保険に新規技術が導入されるためには、臨床研究で一定以上の良い結果を得る必要があります。
前歯部CAD/CAM冠の臨床研究は長崎大学病院がおこなっており、その概要が臨床研究情報ポータルサイトで確認できます。
臨床研究情報 歯科用CAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる前歯部の歯冠補綴
このページを見ると試験開始日が2015年11月16日となっており、まだ臨床研究を開始して4年ちょっとしか経っていないことがわかります。
おそらく治療の予後のデータが不足しているため今回は不採用になったのではないかと思われます。
2022度診療報酬改定で前歯部CADCAM冠が保険導入される可能性はあるか
臨床試験登録情報/歯科用CAD/CAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる前歯部の歯冠補綴 を確認すると、フォロー終了(予定)日が2022年03月31日となっています。
このため、2022年度診療報酬改定には間に合わず、導入されるとしても2024年度診療報酬改定の時になるのではないかと予想します。