2020年9月から、前歯にもCAD/CAM冠が適応拡大

前歯のCAD/CAM冠、ついに保険適応か

本日、「中央社会保険医療協議会 総会(第464回) 議事次第」が公開されました。

公開された資料の中に「医療機器の保険適用について(令和2年9月収載予定)」があり、その中に「前歯部のCAD/CAM冠」が有りましたので、今回解説していきたいと思います。

前歯のCAD/CAM冠の適応範囲

適応される部位は、中切歯、側切歯、犬歯となります。

つまり、前歯の全部位が適応となります。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000660248.pdf

2020年8月現在、小臼歯と、条件付きで上下の第1大臼歯にCAD/CAM冠を被せることが出来ます。

前歯にもCAD/CAM冠が適応拡大されることで、保険治療のメタルフリー化が更に加速されそうです。

前歯専用のCAD/CAM材料が、新規に導入される

前歯のCAD/CAM冠は、前歯専用の材料を使うことになるようです。

○ 定義案
058 CAD/CAM冠用材料について、下記下線部を追記する。
(1) 定義 (略)
(2) 機能区分の考え方
構成成分及び物理的性質により、CAD/CAM冠用材料(Ⅰ)、CAD/CAM冠用材料(Ⅱ)、CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)及びCAD/CAM冠用材料(Ⅳ)の合計4区分に区分する。
(3) 機能区分の定義
①~③ (略)
④ CAD/CAM冠用材料(Ⅳ)
次のいずれにも該当すること。
ア シリカ微粉末とそれを除いた無機質フィラーの合計の質量分率が60%以上であること。
イ ビッカース硬さが55HV0.2 以上であること。
ウ 37 ℃ の水中に7 日間浸漬後の3 点曲げ強さが160MPa 以上であること。
エ 37 ℃ の水中に7 日間浸漬後の吸水量が32μg/ ㎣ 以下であること。

オ 歯冠長に相当する一辺の長さが14 ㎜以上であること。
カ シリカ微粉末とそれを除いた無機質フィラーの一次粒子径の最大径が5㎛以下であること。
キ エナメル色(切縁部色)とデンティン色(歯頚部色)、及びこれらの移行色(中間色)を含む複数の色調を積層した構造であること。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000660248.pdf

現在、CAD/CAM冠材料は(Ⅰ)~(Ⅲ)の3種類ですが、新たにCAD/CAM冠材料(Ⅳ)として新規に前歯専用の材料が導入されるようです。

前歯専用のCAD/CAMブロックは、色にグラデーションがある

前歯専用のCAD/CAM冠材料の要件に、「エナメル色(切縁部色)とデンティン色(歯頚部色)、及びこれらの移行色(中間色)を含む複数の色調を積層した構造であること。」とういものがあります。

このことから、前歯専用のCAD/CAMブロックは色にグラデーションがあることがわかります。

これはおそらく、従来の単色のものでは前歯に使うには審美的に問題があるからでしょう。

資料の写真を見る限りでは、審美性が向上しているように見えます。

ただし、工場で事前に製作したブロックを削り出す関係上、厳密に色を合わせることは不可能なので、実際に口の中に入れたときにどれだけ色が合うか未知数なところがあると思います。

まとめ

令和2年9月収載予定の前歯部CAD/CAM冠について解説させていただきました。

前歯のCAD/CAM冠用にグラデーションカラーのCAD/CAM冠材料が新規に導入されるようですが、実際にどれくらい審美的かは未知数です。

導入直後はあまり目立たない部位から試しに使ってみるのが良いのではないでしょうか。

前歯にもCAD/CAM冠が適応拡大されることで、保険治療のメタルフリー化が更に加速されそうです。

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

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