磁性アタッチメントとMRI|MRI撮影時に注意すること

磁性アタッチメントとMRI撮影 その他

歯科治療では、入れ歯を安定させる方法の一つとして、磁石をアタッチメントとして利用する方法があります。

http://jsmad.jp/jjsmad/JMD21-1-p91-p110a.pdf

口の中に磁性アタッチメントを利用している場合、MRI撮影を行う際にいくつかの注意が必要です。これはMRI撮影は脳の検査に使われることが多く、脳と口は場所的に近いために影響を受けやすいからです。

歯科用磁性アタッチメントとは

歯科用磁性アタッチメントは、磁石とキーパーからなります。

http://jsmad.jp/jjsmad/JMD21-1-p91-p110a.pdf

磁石は義歯に取り付けられ、キーパーは歯根に取り付けられます。

口腔内に設置されるキーパーは磁性ステンレスであり、主にSUSXM27、SUS430、SUS447J1、SUS444(AUM20)のいずれかで制作されています。

MRI撮影における注意点

磁性アタッチメントを利用している場合、MRI撮影を行う際に以下の点に留意する必要があります。

  1. MRI撮影前に入れ歯を必ず取り外す。
  2. キーパーが取れかかっていないか、事前に確認をしてもらう。
  3. アーティファクトにより診断困難な場合、キーパーの除去が必要となる。

MRI撮影前に入れ歯を必ず取り外す

キーパーは磁石ではありませんので、義歯を外して撮影を行った場合、磁石の吸着が損なわれる心配はありません。

また、MRI検査後にキーパーに磁力が残留する心配もありません。

しかし、義歯を装着したままMRI撮影を行ったりMR室内へ入ると、磁石の吸引力が喪失したり、義歯が飛び出したりする危険性があります。

このため、必ずMRI撮影前に入れ歯を取り外し、MR室に入れ歯を持ち込まないようにする必要があります。

キーパーが取れかかっていないか事前に確認をしてもらう

キーパーそのものが外れかかっていたり、キーパーが取り付けられている補綴装置(根面板、インプラント、歯冠外アタッチメント等)が緩んでいたりすると、MR装置の磁場により、キーパーが脱離して口の中の粘膜を損傷したり、誤嚥・誤飲を引き起こしたりする恐れがあります。

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このため、口腔内のキーパーや、キーパーを取り付けている装置が緩んでいないか確認する必要があります。

アーティファクトにより診断困難な場合、キーパーの除去が必要となる

キーパーの周囲には金属アーティファクトが出現し、その部位は診断が困難となります。

アーティファクトの範囲はおおよそ半径4~8cmであり、キーパーの設置部位によってアーティファクトの出現部位が変わります。

診断部位が口腔底、舌、咽頭などの口腔周囲組織である場合や、磁化率の影響を強く受ける撮影方法を用いる場合、キーパーを除去しないと診断が出来ないことがあります。

キーパーの除去が必要と判断された場合、歯科医院にてキーパーを除去することとなります。

http://jsmad.jp/jjsmad/JMD21-1-p91-p110a.pdf
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参考資料

日本磁気歯科学会|「磁性アタッチメントとMRI」 歯科用磁性アタッチメント装着時のMRI安全基準マニュアル(http://jsmad.jp/mrisafety-m

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

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