歯根分割抜去法とは

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歯根分割抜去法とは、複数の歯根がある歯に対して行う術式で、問題のある歯根だけを分割して抜去し、問題のない歯根を保存する方法です。

この方法は大臼歯という大きめの奥歯に対して使われる方法です。

奥歯である大臼歯には、歯の根っこ(歯根)が複数あります。

このため、条件が揃えば問題のある歯根だけを抜歯し、健康な歯根を保存して利用することが出来ます。

歯根分割抜去法が適応できる条件

歯根分割抜去法を行うためには、以下の条件を満たしている必要があります。

歯根が癒着せず、はっきりと離開している

歯根分割抜去法を行うためには、問題のある歯根と健康な歯根を歯を削るドリルで綺麗に分割する必要があります。

このため、対象とする歯は歯根がしっかり離開している必要があります。

離開度が小さかったり、根が癒合している場合は歯根分割抜去法の適応にはなりません。

歯根の分岐部(股の部分)が、なるべく浅い位置にある

歯根の分岐部(股の部分)がなるべく浅い位置にあり、周囲の骨との高さの差が少ない歯が歯根分割抜去法を行う上で理想的です。

歯根の分岐部(またの部分)の位置が深い位置にある場合、上の図のようにその部分が骨の裏打ちがないために歯茎が退縮した状態となってしまいます。

そのような部位があると物が挟まりやすかったり、清掃が難しいために虫歯や歯周病に罹患するリスクが高くなってしまいます。

無理やり残した歯が原因でトラブルが続発すると、周りの歯にもダメージを与えてしまいます。

そのような場合は、問題のある歯を完全に取り除いて治療した方がお口全体のトラブルを防げます。

残す方の歯根にしっかりとした骨の支えがある

噛む力を支えためには歯の根っこ部分がしっかり骨に支えられている必要があります。

このため、骨の支えが十分にない歯根は無理やり残しても、噛む力に耐えられずトラブルを起こす可能性が高いです。

歯根分割抜去法の種類

歯根分割抜去法は、対象とする歯の歯根の数によって大きく2つに分類されます。

歯根が2本の歯にに対して行うものをヘミセクション、 歯根が3本ある歯に対して行うものをトライセクションと言います。

ヘミセクション|歯根が2本の歯に対する歯根分割抜去法

歯根が2本の歯にに対して行う歯根分割抜去法のことを、ヘミセクションと言います。

下顎の大臼歯はほとんどの場合歯根が2本のため、下の奥歯の歯根を分割する場合は多くの場合ヘミセクションとなります。

術式

根管治療

分割を行う歯は、神経を事前にとっておく必要があります。

このため、まだ神経が残っている歯の場合はまずは根管治療を行う必要があります。

また、神経をすでに取っている歯でも、虫歯などで細菌感染が疑われる場合は再度の根管治療が必要になります。

歯の分割

歯を股の部分で歯根を分割し、2つに分けます。

歯根の抜去

ダメになった方の歯根を器具で掴み、抜去して取り除きます。

歯肉の治癒を待つ

抜去した歯根部分が治癒して歯肉に覆われるまで待ちます。

ブリッジ治療

歯肉の治癒後、保存した歯根と隣の歯を利用してブリッジ治療を行います。

ブリッジ治療の詳しい内容はこちらで解説しています。

トライセクション|歯根が3本の歯に対する歯根分割抜去法

歯根が3本ある歯に対して行う歯根分割抜去法ことを、トライセクションと言います。

上顎の大臼歯は多くの場合歯根が3本あり、歯根を分割する場合はトライセクションを行うこととなります。

術式

根管治療

分割を行う歯は、神経を事前にとっておく必要があります。

このため、まだ神経が残っている歯の場合はまずは根管治療を行う必要があります。

また、神経をすでに取っている歯でも、虫歯などで細菌感染が疑われる場合は再度の根管治療が必要になります。

根の分岐部の位置を確認

上の奥歯は根っこが3本あるため、下の奥歯に比べて形が複雑です。

このため、根の分岐部の位置を器具でしっかり確認しておく必要があります。

根の分割

器具で根の分岐部を確認したのち、ドリルを使って根の分割を行っていきます。

歯根の抜去

根を完全に分割した後、器具で掴んでダメになった歯根を取り除きます。

歯根の形態を整える

トライセクションの場合、2本の根っこを残す必要があるため、切断面に段差が出来やすいです。

このため、器具で歯根の形を確認しながら歯の形を整えていきます。

歯肉の治癒を待つ

抜去した歯根部分が治癒して歯肉に覆われるまで待ちます。

補綴処置

歯肉の治癒後、被せ物を作っていきます。

根が少なくなった分骨の支えが弱くなるので、必要であれば隣の歯と連結してお互いに支えあう形にしていきます。

まとめ

歯根分割抜去法とは、複数の歯根がある歯に対して行う術式で、問題のある歯根だけを分割して抜去し、問題のない歯根を保存する方法です。

この方法は適応するには条件があり、どんな歯にも使える方法ではありません。

しかし、条件が揃えば問題のある歯根だけを抜歯し、健康な歯根を保存して利用することができます。

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

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