ジルコニアという材料を聞いたことはありますか?
ジルコニアは歯科分野で近年重要視されている材料の一つです。
今回はこのジルコニアについて解説していきます。
ジルコニアってどんな材料?
ジルコニアは軽くとても丈夫なセラミック材料です。
耐熱性もあることから、スペースシャトルの外壁にも使用されています。
ジルコニアは生体親和性が高く、アレルギーの心配がほとんどありません。
このため医療分野で幅広く使用されており、人工関節にも使われています。
ジルコニアを利用した歯の被せ物のメリット
強度が高く、丈夫
ジルコニアは従来のセラミック素材と比べて強度が非常に高いです。
このため、一番力がかかる奥歯の被せ物としても利用することが出来ます。
従来のセラミックでは、噛み合わせたときに一番力がかかる奥歯に使うと割れたり欠ける恐れがあります。
しかし、ジルコニアは奥歯に使用しても十分な強度を保つことが出来ます。
経年劣化に強い
ジルコニアは化学的に非常に安定した素材です。
このため樹脂のように経年劣化で変色することがありません。
また、金属のように錆びるようなこともありません。
身体に優しい
ジルコニアは生体親和性が高く、アレルギーの心配がほとんどありません。
このため医療分野で幅広く使用されており、体内に埋め込む人工関節などの素材にも使われています。
ジルコニアの被せ物はどうやって作るの?
CAD/CAM装置というコンピューター制御の加工機械を用いて製作します。
CAD/CAMとは、パソコンでデザインしたものを機械で削り出すシステムのことを言います。


プラスチックから金属まで色々なものを削ることができるので、デザイン業界や医療業界、自動車業界など様々な分野で利用されています。
どうしてCAD/CAM装置を使用するの?
ジルコニアは従来の手作業で作る方法では製作できないからです。
ジルコニアはとても硬くて加工が難しいため、半焼結状態という軟らかい状態のうちに加工を行い、その後完全焼結を行うことで硬い最終形態にします。
この焼結を行う時、ジルコニアは半焼結状態から20%程度収縮します。
このため、半焼結状態から削り出す大きさは、 収縮した時にぴったりの大きさになるように大きめ削り出す必要があります。
最終的な被せ物と同じ大きさであれば模型上に材料を盛り上げて手作業で作れますが、大きさが変わるとなると手作業で作るのは不可能です。
ジルコニアを加工するためには、一度デジタルデータに変換し、収縮した時にぴったりの大きさになるように計算して設計する必要があります。
このため、ジルコニアの加工にはCAD/CAM装置が必須です。
CAD/CAM装置でジルコニアを設計するためには、歯の形をデジタルデータに変換する必要があります。
ジルコニアを作るために歯の形をデジタルデータに変換する方法
ジルコニアを作るために歯の形をデジタルデータに変換する方法は、2通りあります。
- 従来通り型取りをして模型を製作し、それをスキャンしてデジタルデータを作る(間接法)
- 口の中を直接スキャンして、デジタルデータを作る(直接法)
現在は模型をスキャンする間接法が一般的ですが、今後は口腔内スキャナーが普及して直接法が一般的になっていくと予想されています。
間接法
間接法では従来通り型取りをして模型を製作し、その模型を卓上スキャナーでスキャンしてデジタルデータ化します。

直接法
直接法では口腔内スキャナーで口の中の情報を直接デジタルデータとして所得します。

石膏模型をスキャンする場合より、直接口の中をスキャンする方が精度が良い
口の中を直接スキャンする方法に比べて、模型を作ってそれをスキャンする方法は工程が多い分各工程でのエラーが蓄積して精度が悪くなると言われています。
口の中を直接スキャンする方法の方が精度が良いという研究データが多数出ています。
ただし、光学印象が難しい場合もある
光学印象は、専用のカメラで口の中を撮影することでデジタルデータを作成します。
このため、歯肉が被って直接見えない部位は撮影することができません。
そういった場合は光学印象が難しいため、従来の型取りの方を行う必要があります。
従来の型取りであれば多少歯肉に覆われた部分も型取り材が流れ込めば情報を得ることができます。
セレックはジルコニア加工に対応しています

現在歯科用CADCAM装置で一番シェアが高い「セレック」はジルコニアの加工にも対応しています。
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