今、国が第4次産業革命を推進しており、AIやLOT、ロボットを利用したサービスがどんどん登場してきています。
歯科においてもそのような波が押し寄せており、AIを使った診断などが盛んに研究されています。
個人的に特に注目しているのが東北大学とドコモが共同研究を行っているスマートフォンを利用した歯周病の簡易診査です。
東北大学とドコモ、歯周病発見AIの共同研究を開始 ~スマートフォンを使って歯周病検診の受診率向上をめざす~
国立大学法人東北大学(以下、東北大学)と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、生活習慣病や歯の喪失を引き起こす歯周病を早期発見できる社会をめざし、歯周病発見AIの共同研究を2019年4月1日(月曜)から開始します。
歯周病は、20歳代で約61%、40歳代で約71%、60歳代で約75%※1の方に所見が見られ、今後ますます進展する高齢社会に向けて注目が集まっています。
歯周病を発見するために有効な歯周病検診は、歯科医院などの診察時間内といった限られた場所や時間帯でしか受診することができません。40歳~70歳を対象とした歯周病検診の受診率は全国で4.3%と推定されており※2、重症化してから歯科医師にかかることも少なくありません。
この課題を解決するために、スマートフォンで歯ぐきを撮影するだけで歯周病を発見できるAIを共同で開発します。具体的には、撮影時の手振れや撮影環境の明るさの違いを考慮しながら、歯ぐきの色情報や歯周病独特の形状などを解析し、歯周病のリスクがあるかどうかを判定します。この技術を用いることで、利用者は自宅や会社で空き時間に歯周病のリスクを把握し、歯科医師とのコミュニケーションを活性化させます。これにより、歯周病検診の受診につなげることで重症化を防ぐことが期待されます。 東北大学の口腔疾患に関する豊富な診断実績・研究実績に基づく専門的見識と、ドコモのAI技術をあわせることで、日常の生活シーンで活用できる歯周病発見AIを確立します。2022年度を目途に歯周病だけではなく、顎関節症や口腔がんなど他の口腔疾患も発見可能にし、実用化をめざします
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/tohokuuniv_press_20190221_02_docomo_web.pdf
この研究の素晴らしい点は、スマートフォンで気軽に歯周病のリスク検査を出来るようにしようという点です。
歯周病というのは歯を失う原因の一位ですが、慢性疾患であり軽度~中等度では痛みなどの症状は殆どありません。(歯周病について詳しくはこちら)
ものすごい激痛があれば殆どの人は「早く病院に行こう!」と思いますが、時々歯茎に違和感がある程度では「仕事が忙しいから・・・」と病院に行かずにそのままにしてしまう方が多いです。
痛みがないからと油断して放置していたら歯周病が知らぬ間に進行していき、何年後かに歯がぐらぐらになって抜けてしまった・・・という事例は珍しくありません。
スマートフォンで歯周病のリスク評価が出来るようになれば、空き時間に気軽にできるので上記のような不幸な事例を防ぐことが期待できます。
また、歯周病だけでなく顎関節症や口腔がんなどの発見にも応用するようなので、実現すれば病気の早期発見が今よりずっと簡単になるでしょう。
少し前に堀ちえみさんの舌がん進行が問題になりましたが、このようなAIを利用した検査が発展してくればそのような問題もなくなっていくのかもしれません。