4歳未満で乳歯が抜けたら要注意!難病かもしれません

4歳未満での乳歯の脱落 その他

通常、乳歯が抜け始めるのは6歳頃からです。しかし、極稀に4歳未満で乳歯がグラグラになって抜けてくることがあります。そのような場合、難病に指定されている「低ホスファターゼ症」の可能性があります。

通常、乳歯が抜け始めるのは6歳頃

通常、乳歯が抜け始めるのは6歳頃からです。

大人の歯が生えてくるのに伴い乳歯の歯根が吸収して短くなり、グラグラになって抜けていきます。

対して、低ホスファターゼ症による早期脱落の場合、歯根の吸収が起きていないのに歯が抜けてしまいます。このため、抜けた歯の歯根は長いままなのが特徴です。

低ホスファターゼ症による歯の早期脱落
画像出典:公益社団法人日本小児歯科学会 http://www.jspd.or.jp/contents/main/attention/index.html
低ホスファターゼ症による歯の早期脱落
画像出典:公益社団法人日本小児歯科学会 http://www.jspd.or.jp/contents/main/attention/index.html

なぜ乳歯が早期に抜けてしまうの?

健全な乳歯は、歯根膜を介して歯と骨が接着しています。

しかし、低ホスファターゼ症の人は歯の表面のセメント質がうまく形成されません。このため、歯と骨の接着部分に異常が生じ、歯と骨の接着が弱くなります。

低ホスファターゼ症による歯の早期脱落のメカニズム
画像出典:公益社団法人日本小児歯科学会 http://www.jspd.or.jp/contents/main/attention/index.html

低ホスファターゼ症とは

低ホスファターゼ症とは、骨格異常を起こす、遺伝性の骨の病気の1つです。

低ホスファターゼ症は、骨を作るための酵素であるアルカリホスファターゼ(ALP)の働きが低下することによって引き起こされます。

低ホスファターゼ症のメカニズム
画像出典:公益社団法人日本小児歯科学会 http://www.jspd.or.jp/contents/main/attention/index.html

これにより全身の骨の形成が不十分となるため、様々な骨格系の異常が生じます。

また、歯や骨だけでなく、神経系・呼吸器系・腎臓・関節・筋肉などにも様々な症状が現れることがあります。

低ホスファターゼ症の症状
画像出典:公益社団法人日本小児歯科学会 http://www.jspd.or.jp/contents/main/attention/index.html

さらに、その症状は生涯に渡って継続し、進行性であるという報告もあります。

低ホスファターゼ症の98.6%が乳歯の早期脱落を経験しているとの報告があります。このため、乳歯の早期脱落は低ホスファターゼ症の早期発見にきっかけになります。

低ホスファターゼ症が疑われる場合の対応

低フォスファターゼ症が疑われる場合、小児科の先生に紹介し、精密検査を行うことになります。

体内のALPの値を検査し、正常値よりも低い場合に低ホスファターゼ症と診断されます。

低ホスファターゼ症と医科歯科連携
画像出典:公益社団法人日本小児歯科学会 http://www.jspd.or.jp/contents/main/attention/index.html
低ホスファターゼ症の診断方法
画像出典:公益社団法人日本小児歯科学会 http://www.jspd.or.jp/contents/main/attention/index.html

参考文献

日本小児歯科学会|気づいてあげて!特徴的な乳歯の早期脱落がある遺伝性の難病

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

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