先天性欠如とは
先天性欠如とは、生まれつき歯が欠損して本来の本数より少ない状態のことです。
日本小児歯科学会が2007年から2008年にかけて行った全国調査「日本人小児の永久歯先天性欠如に関する疫学調査」では、子供15,544人のうち、大人の歯の先天性欠如があったのは1,568人(10.1%)でした。
また、大人の歯の先天性欠如は男子(9.1%)より女子(11.0%)がわずかに多い傾向がありました。
歯の種類別では、第2小臼歯(前から5番目の歯)と側切歯(前から2番目の歯)が多いという結果が出ています。
7歳までにパノラマX線写真で確認を
レントゲン写真を撮ることで、顎の骨の中にきちんと大人の歯があるかどうか確認することが出来ます。
日本臨床矯正歯科医会では、大人の歯の先天性欠如の有無を早期に発見できるよう、過去の研究結果をもとに7歳までにパノラマX線写真を撮影することを推奨しています。
大人の歯の先天性欠如が見つかったら
大人の歯の先天性欠如がみつかったら、子供の歯が脱落した後にそのスペースをどうするのかということを考えて治療計画を練る必要があります。生え変わる大人の歯がない場合、乳歯は20歳以降も残ることがありますので、長期的な治療計画を練ることもあります。
治療の例としては
- 矯正治療で、大人の歯が足らない状態でもきれいに並ぶように歯を並べる。
- 乳歯をできるだけ長く使った後、歯が抜けてなくなったスペースをブリッジやインプラントといった補綴治療で補う。
等の方法が考えられます。
6本以上の歯が先天性欠損の場合、矯正治療が保険適用に
6本以上の歯が先天性欠損の場合、「先天性部分無歯症」という国の定める先天疾患として矯正治療が保険適用になります。
一般的な矯正治療は自費治療ですが、厚生労働省が定めた特定の疾患に限り健康保険が適用されます。
保険適用は「指定自立支援医療機関」の指定を受けている病院に限りますので、対象となる場合は指定自立支援医療機関と連携して対応させて頂きます。
追記:令和2年度診療報酬改定で先天性部分無歯症の方は保険治療でインプラント治療が行えるようになりました。
保険適応は施設基準を満たした病院に限りますので、対象となる場合は対象となる医療機関と連携して対応させて頂きます。