セレックによるセラミック治療について

セレックによるセラミック治療 虫歯について

「仕事や育児が忙しいから、なるべく短期間で歯の治療を終わらせたい」そう思ったことはありませんか?

通常、金属の被せ物や詰め物を使った治療では、型取りをしてから詰め物や被せ物が出来上がるまで1週間程度かかります。

しかし、セレック治療であれば院内で被せ物や詰め物の製作まで行うことが出来るため、型取り利をしたその日に被せ物を装着することも可能になります。

セレックとは

セレックとは、コンピュータ制御によって歯の修復物を設計・製作する医療システムです。

セレックを使うことで、歯を削って型取りをしたその日にセラミックの被せ物を装着することが可能になります。

セレック治療は従来の治療と比べて様々な利点があります。

セレックのメリット

治療期間を従来の方法より大幅に短縮できる

従来の外注で被せ物や詰め物を製作する方法では、 型取りをしてから詰め物や被せ物が出来上がるまで1週間程度かかります。

しかし、セレックであれば型取りをしたその日の内に被せ物や詰め物を装着することが可能です。

セラミックインレーであれば通常60~90分程度で治療を完了することが出来ます。

ジルコニアクラウンの場合は焼成工程が必要なため、2時間程度時間がかかります。

従来2回に分けていた治療を1回で終わらすことが出来ますが、その分1回あたりの診療時間が長くなるため、セレックによる即日治療には事前予約が必須です。

削った歯質の汚染を抑制できる

セレック治療では従来の治療よりも被せ物や詰め物を装着するまでの期間を短くできるため、削った歯質が細菌に汚染されるリスクを抑制できます。

従来の方法では、型取りをしてから被せ物を装着するまでには1週間程度間隔が空きます。このため、その間は削った部位に仮蓋をします。

しかし、仮蓋の期間が長いと歯と仮蓋の間に隙間ができてしまい、隙間から細菌が入ってくる危険性があります。

隙間から細菌が入ると、露出した象牙質部分が細菌に汚染される可能性が高いです。

健全な象牙質

象牙質の構造
象牙質は象牙細管と呼ばれる管がたくさん並んだ構造をしている

細菌感染が起こった象牙質

画像出典:宮崎歯科医院(https://miyazaki-dentalclinic.com/date/2019/10/05)

象牙質に細菌感染が起こった状態で被せ物を装着すると、被せ物が外れやすく虫歯の再発の原因になります。

しかし、歯を削ってすぐに被せ物を装着すれば、接着阻害が起こるリスクを抑制できます。

金属アレルギーの心配がない

セレック治療では、工場で徹底的な品質管理をされたセラミックのブロックを使用して被せ物や詰め物を製作します。

身体に優しいセラミック素材の為、金属アレルギーの方も安心して治療が受けられます。

経済的

セレックは、コンピュータを使って院内で設計・製作を行うため、リーズナブルな価格で提供できます。

ジルコニアにも対応している

セレックはジルコニアと呼ばれる、強度が高く割れにくいセラミック材料にも対応しています。

従来のセラミックは強い力がかかる奥歯の場合は割れる心配がありましたが、ジルコニアは奥歯に使用しても割れる心配はほとんどありません。

セレック治療の流れ

①光学カメラで撮影して歯型を採取

歯を削った後、光学カメラで口の中を撮影します。

従来のように粘土の様な材料で型取りをしないため、不快感が少なくて済みます。

②コンピュータで被せ物を設計

撮影したデータを用いて被せ物の形態や噛み合わせをコンピューターを用いて設計していきます。

③ミリング装置でセラミックの被せ物を製作

ミリングマシンというセラミックを削り出す機械にデータを送信し、セラミックブロックから被せ物を製作します。

(※ジルコニアの場合は削り出した後1500℃程度の熱を加えて焼成を行う必要があります。)

④歯に被せ物を装着

完成したセラミックの被せ物を歯に装着します。

これで治療が完了です。

プロモーションムービー

セレックのデメリット

金属材料には対応していない

セレックが対応している材料は、セラミック、ジルコニア、ハイブリッドレジン、仮歯用の樹脂などです。金属は対応していないため、金属の被せ物を製作することはできません。

色の再現性は従来のものに劣る

セレックは規格生産されたブロックを削って被せ物を製作するため、ブロックにない色は再現できません。

それに対して、従来の手作業で製作する方法では、筆でセラミックを盛り上げて色や形を作っていくため、その人に合わせた色のセラミックを製作することが可能です。

従来の方法

セラミックの築造

まとめ

セレックにより、型取りをしたその日にセラミックの被せ物を装着することが可能です。

従来の方法では、型取りをしてから1週間程度間隔をあけて被せ物を装着する必要がありました。

その場合、削った部分が細菌に汚染され、歯と被せ物をくっつける接着剤がしっかり付かない危険性があります。

セレックで歯を削ったその日に被せ物を装着すれば、細菌汚染の心配がなく、歯と被せ物がしっかりと接着されます。

ただし、色の再現性は従来の手作業で作るものの方が再現度が高く、メリット・デメリットをよく検討したうえで治療法を選択する必要があります。

参考文献

デンツプライシロナ CERECチェアサイドソリューション

日本臨床歯科CADCAM学会

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

虫歯について