親知らずが原因の奥歯の歯茎の痛み|智歯周囲炎

智歯周囲炎について その他

智歯周囲炎とは

智歯周囲炎とは、親知らず(智歯)の周囲の歯肉が炎症を起こして歯茎が腫れたり痛みを起こす病気のことです。

軽度では触った時に痛い程度ですが、炎症がひどくなると何もしなくても痛い、物を飲み込むのがつらくなるなどの症状が出てきます。

智歯周囲炎の原因

直接的な原因は細菌

智歯周囲炎は親知らずの周囲の歯茎にばい菌が増殖することで引き起こされます。

親知らずは一番奥に生えているため、歯ブラシが届きにくく、不潔な状態になりやすい部位です。 汚れが溜まったままになっていると、それを養分として細菌が繁殖して炎症が起きる原因となります。

親知らずの生え方に問題があると、細菌が繁殖しやすい環境になる。

智歯周囲炎を起こす大きな要因の一つに「親知らずの生え方」があります。

親知らずの生え方

正しく生えている場合や完全に骨の中に埋まっている場合はあまり問題となりませんが、一部分だけ中途半端に生えている状態が不潔になりやすく、問題を起こしやすい環境となってしまいます。

智歯周囲炎に対する処置

炎症が起きている状態では外科的な処置が行えないため、まずは炎症を落ち着かせる必要があります。

消毒処置

親知らずの周囲を生理食塩水にて洗浄・消毒して炎症の原因となっている毒素などを洗い流します。

抗生剤の投与

炎症を抑えるため、抗生剤の投与も行います。

使用する抗生剤の第一選択はセフェム系の抗生剤です。

アレルギーなどの問題で第一選択薬を使えない場合はマクロライド系の抗生剤を使用します。

レーザーの照射

レーザーには殺菌作用や組織の治癒促進作用があります。

このため、智歯周囲炎に対してもレーザーの照射は有効です。

レーザーを当てることでより効果的に炎症を抑えることが出来ます。

炎症を落ち着かせても、親知らずがあるままだと再発することが多い

抗生剤やレーザーを用いることで炎症を抑えることは出来ますが、根本的な解決にはなりません。

根本的は問題は親知らずの周囲が細菌が繁殖しやすい環境となっていることなので、その問題が残っている限り再発を起こす可能性が高い状態となります。

根本的な解決には親知らずの抜歯が必要

智歯周囲炎の再発を防ぐためには、 細菌が繁殖しやすい環境を是正する必要があります。

最も効果的な方法は親知らずを抜歯して取り除くことです。

親知らずの抜歯について

下顎骨の中には下歯槽神経という太い神経が走行しており、親知らずが神経に近い場合は抜歯が難しいこともあります。

親知らずの抜歯についてはこちらで詳しく解説しています。

まとめ

親知らずが原因で奥歯が痛むことがありますが、そのほとんどが智歯周囲炎です。

智歯周囲炎は親知らずの周囲が不潔になりやすい環境になっていることが原因となり、ばい菌が増殖することで引き起こされます。

このため、炎症を抗生剤などで抑えても根本的な解決にはならず、再発を繰り返すことが多いです。

根本的は問題は親知らずの周囲が細菌が繁殖しやすい環境となっていることなので、 再発を防ぐためには抜歯が最も効果的な処置となります。

参考文献

歯および歯周疾患|口腔外科相談室|日本口腔外科学会

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

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