歯科用ジルコニアの世代や構造と、それぞれの特徴について

ジルコニアの世代ごとの特徴をまとめた表

歯科用ジルコニアは、誕生から僅か約20年の間に急激に進化しています。

初期のジルコニアは,強度が高いものの透光性が低く白色でフレーム材としての用途しか有りませんでした。

しかし、透光性の高い素材の誕生により、現在では前歯部にもジルコニア単独で使用できるようになりました。

一言にジルコニアといっても、世代によって特徴が違うので、本記事では世代ごとに分けて特徴をまとめていきます。

ジルコニアの世代について

現在、ジルコニアは組成によって第1世代~第4世代までの4種類に大別されています。

ジルコニアの世代ごとの特徴をまとめた表

組成は、イットリア(Y2O3)の含有量等によって区分されます。

基本的にイットリアの含有量が増えるほど透過性が向上し、審美性が上がりますが、強度が低下します。

第1世代ジルコニアについて

強度を優先してイットリア含有量を3mol%とした、「3Y-TZP」を使用したジルコニアです。

第1世代ジルコニアの従来型TZPはアルミナ含有量が多いので、3Y-HAと表記されることもあります。

透明感がほぼ無く、真珠のような白さ(パールホワイト)と形容されることもあります。

強度は1200MPaとかなり高いですが、審美性が低く、陶材を前装するフレーム材として使用されます。

フレーム材としてジルコニアを使用した写真
引用元:https://www.yamakin-gold.co.jp/technical_support/webrequest/pdf/kzr-cad_zr.pdf

第2世代ジルコニアについて

第2世代ジルコニアは、第1世代より透過性が改善した「高透過性3Y-TZP」を使用しています。

「高透過性3Y-TZP」はアルミナの含有量を0.05%に減少させ,粒界に析出したアルミナによる透光性の低下を抑制することで,従来型TZPより透光性が向上しています。

光透過率が41%となり、大臼歯であればモノリシックで使用できるようになりました。

「モノリシック」とは「一枚岩のような」という意味で、ジルコニア単独で歯の被せ物として使用できるという意味です。

第2世代ジルコニアは前歯部にそのまま使用するには透過性が低く、さらなる改良が求められました。

第3世代ジルコニアについて

イットリア含有量を5mol%とした「5Y-TCZP」を使用し、大幅に透過性を改善しました。

第3世代ジルコニアから、前歯部にもモノリシックで使用できるようになりました。

第3世代ジルコニアは49%とかなり高い光透過率を出し、二ケイ酸リチウムに迫るほどの審美性を得ましたが、強度が700MPaまで低下しました。

第4世代ジルコニアについて

イットリア含有量を4mol%とした「4Y-TCZP」を使用し、強度と審美性のバランスを取ったジルコニアです。

45%と高い光透過率を維持しつつ、第1世代に近い1100MPaという高い強度を出しています。

こちらも前歯部や臼歯部にモノリシックで使用が出来ます。

積層構造による分類

上記の組成による世代分類のほか、ジルコニアは積層構造の有無や種類によって以下の3種類に分類されます。

単一組成単色型のジルコニア

単一組成単色型は、単一の組成で、色調も単色のタイプのジルコニアです。

色調が一色のみでコントラスト比の変化がないので、グラデーションのあるジルコニアと比べて審美的に劣ります。

引用元:https://www.yamakin-gold.co.jp/technical_support/webrequest/pdf/kzr-cad_zrgr_rep.pdf

単一組成積層型のジルコニア

単一組成積層型は、単一の組成で、色調はグラデーション色が付与されたジルコニアです。

グラデーション構造のジルコニア
引用元:https://www.kuraraynoritake.jp/product/cad_material/katana_zirconia_block.html

天然歯のようなグラデーション色が付与されているので、単一組成積層型のジルコニアは天然の歯に近い自然な色合いと透明感を再現出来ます。

引用元:https://www.yamakin-gold.co.jp/technical_support/webrequest/pdf/kzr-cad_zrgr_rep.pdf

また、ジルコニアの切削位置を調整することによって、多少であればジルコニアの色調調整をすることも可能です。

単一組成積層型の中でも、積層数や積層技術の違いによって審美性に違いがあります。

引用元:https://www.yamakin-gold.co.jp/technical_support/webrequest/pdf/kzr-cad_zrgr_rep.pdf

混合組成積層型のジルコニア

混合組成積層型は、色調だけでなく、組成も複数種類を積層したジルコニアです。

混合組成積層型のジルコニアは、高い強度と優れた審美性を両立しているのが特徴です。

混合組成積層型のジルコニアは、歯頚部側には強度に優れた3Y-TZPや4Y-TCZPを使用し、審美性の求められる切端側に5Y-TCZPを使用しています。

色調も天然歯のようなグラデーション色となっているので、混合組成積層型のジルコニアは天然の歯に近い自然な色合いと透明感を再現できます。

引用元:https://www.ivoclar.com/ja_JP/CMS/brochures/IPSemaxzircadMTmulti_Block.pdf

セレックで使用できるジルコニアについて

セレックでは、以下のようなジルコニア材料を使用できます。

カタナ® ジルコニア ONE

https://www.kuraraynoritake.jp/product/cad_material/katana_zirconia_one.html

カタナ® ジルコニアの後継品です。クラレノリタケデンタル社が取扱っています。

単一組成積層型でグラデーションを持つ、第3世代ジルコニアに分類されます。

ブリッジ治療にも利用することが出来ます。

e.max ZirCAD MT Multi

E.maxジルキャドMTマルチの写真

イボクラール・ビバデント社が取り扱っているジルコニア材料です。

4Y-TCZPと5Y-TCZPの2種類の混合組成積層型の、第4世代ジルコニアに分類されます。

ブリッジ治療にも利用可能です。

参考文献

ジルコニアの基礎と製品レポート|YAMAKIN株式会社

「KZR-CAD ジルコニア グラデーション」の 基礎知識と製品レポート|YAMAKIN株式会社

ジルコニアの基礎知識と新製品「 ジルコニア Laxio」の特徴|YAMAKIN株式会社

KZR-CAD Zr製品パンフレット|YAMAKIN株式会社

補綴装置材料としてのジルコニアの選択

My Initial works

カタナ® ジルコニア ブロック|クラレノリタケデンタル株式会社

カタナ® ジルコニア ONE|クラレノリタケデンタル株式会社

IPS e.max ジルキャド MT マルチ|イボクラ

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

虫歯について