CAD/CAMを使用した3Dプリント義歯、遂に保険収載決定

令和7年11月12日、中央社会保険医療協議会より、医療機器の保険適用について(令和7年 12 月1日収載予定)の発表がありました。

この中に、歯科関係のディーマ プリント デンチャー(クルツァージャパン株式会社)がありましたので、これについて考察したいと思います。

3Dプリンターによる義歯製作が保険収載

保険収載される3Dプリント義歯の写真付き資料
引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001594225.pdf

今回保険収載されるのは、3Dプリンターによる義歯製作です。

「液槽光重合方式3次元プリント有床義歯製作装置で製作する総義歯」が保険収載されます。

資料を見た限り、義歯床部分(ピンク色の部分)と歯牙部分(白い部分)を別々に製作し、後から接着させて製作するタイプのようです。

ディーマ プリント デンチャーの写真
引用元:https://kulzer.co.jp/media/product-downloads/jp/product-information/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%9E-%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88-%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC-%E8%A3%BD%E5%93%81%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88.pdf

保険収載の時期

保険収載の時期は、令和7年12月1日収載予定と明記されています。

令和7年12月1日に保険収載予定の医療機器の一覧
引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001594225.pdf

適応症例について

適応症例については、上下総義歯を同時に製作する場合のみの適応となります。

根拠としては、以下のような留意事項案が記載されているからです。

3次元プリント有床義歯は、再製作を行った場合を除き、上下顎で同日に装着した場合に限り算定できる。

https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001594225.pdf

上記の文面を見るに、「上下総義歯を同時に製作する場合」のみが対象となると思われます。

CAD/CAM冠の時も最初は小臼歯のみからの導入だったので、まずは少数症例で経過を見て、問題ないのを確認してから徐々に適応症例を拡大していくのだと考えられます。

保険治療で使用できる3Dプリンターは何がある?

保険治療に使用できる3Dプリンターとしては、2025年12月1日時点で、以下のものがあります。

2026年1月1日より、以下の3Dプリンターも保険治療に使用できるようになります。

上記の根拠は、厚生労働省が公表した令和7年12月26日 保医発1226 第1号です。

保険適応の3Dプリント義歯材料、2026年1月1日より新たに追加の記事でも解説しています。

OEM製品のアキュプリント 3D 4.0プロも使用可能

株式会社モリタから販売されているアキュプリント 3D 4.0プロも、2025年12月1日時点で、保険治療の3Dプリント義歯製作に使用可能です。

アキュプリント 3D 4.0プロは、クルツァージャパン株式会社のカーラ プリント4.0 プロのOEM製品です。

OEM製品ですが届出番号が違うので、以前はアキュプリント 3D 4.0プロは薬機法上使用不可でした。しかし、2025年11月21日にディーマ プリント デンチャー ベースの医療機器添付文書が改定され、アキュプリント 3D 4.0プロも使用可能な3Dプリンターとして追加されました。

ディーマ プリント デンチャー ベースの医療機器添付文書
引用元:https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/ResultDataSetPDF/700102_302AIBZX00002000_1_01_09

保険算定上の注意事項

3次元プリント有床義歯を製作した場合は、トレーサビリティシールを診療録に貼付する等して保存・管理する必要があります。

3Dプリント義歯のトレーサビリティシールの写真
引用元:https://kulzer.co.jp/media/japan/image/startpage/pdf/3%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E6%9C%89%E5%BA%8A%E7%BE%A9%E6%AD%AF%E4%BF%9D%E9%99%BA%E9%81%A9%E7%94%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85-2025-11.pdf

根拠は、「保医発11 2 8 第2号 令和7年11月28日」の「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」です。

3次元プリント有床義歯を製作した場合は、製品に付属している使用した材料の名称及びロット番号等を記載した文書(シール等)を保存して管理すること(診療録に貼付する等)。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001602238.pdf

3Dプリント義歯の製作時や修理時の注意点

3Dプリント義歯は、以下のような製作時や修理時の注意点があります。

  • 光学印象による直接法の印象採得は現時点では不可
  • 口蓋部の厚みは2mm以上必要
  • 既成人工歯は適応外
  • 人工歯脱離への対応はプリント人工歯のみ使用可能
  • 内面適合に軟質裏装材は適用外
3Dプリント義歯の製作上の注意点
引用元:https://kulzer.co.jp/media/japan/image/startpage/pdf/3%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E6%9C%89%E5%BA%8A%E7%BE%A9%E6%AD%AF%E4%BF%9D%E9%99%BA%E9%81%A9%E7%94%A8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85-2025-11.pdf

「人工歯脱離時の対応で、既成人工歯使用不可」というのが盲点なので注意が必要です。

また、光学スキャナーによる直接法の印象採得は現時点では不可です。

根拠は、「保医発11 2 8 第2号 令和7年11月28日」の「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」です。「作業模型で間接法により造形製作」との文言が明記されています。

歯科技工室設置型コンピュータ支援設計、製造ユニット及び歯科技工用重合装置(以下「液槽光重合方式3次元プリント有床義歯製作装置」という。)を用いて、作業模型で間接法により造形製作された歯冠部用材料及び義歯床用材料からなる有床義歯(以下、「3次元プリント有床義歯」という。)は、「2 総義歯」の点数を準用して算定する。

引用元。https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001602238.pdf

参考資料

今回保険収載される、ディーマ プリント デンチャー(クルツァージャパン株式会社)のメーカー公式HPへのリンクや、義歯製作のイメージビデオ等の資料のリンクを参考に設置しておきます。

3Dプリンターでのデンチャー造形 イメージビデオ

ディーマ プリント デジタルデンチャーメーカー公式HP

3次元プリント有床義歯保険適用についてのご案内-2025-11.pdf

また、CAD/CAM義歯の製作方法についての記事を作成しましたので、よければ御覧ください。

この記事を書いた人
八島 愛富

八島歯科クリニック 院長

歯科医師
広島県歯科医師会・会員
広島市介護認定審査委員経験者(1999年~2003年在籍)
臨床研修指導歯科医
広島デンタルアカデミー専門学校 講師
ケアマネージャー資格保持者
広島県がん診療連携登録歯科医

その他口腔機能の低下について